財産分与と聞いても、どのように考えたらいいかよくわからないですよね。
特に自宅や車など、預金以外のものなどは専門家でもぴったりと評価をするのは難しいと言われています。
私は結婚生活も長かったため、不動産を含め持っている全ての財産を把握するまでに少し時間がかかりました。
離婚すると、それまで築いてきた財産は名義に関係なく全てを半分にするということになります。
うちは、自宅や車がありましたが、子供のために今まで通り今の家に住みたいし、車も送り迎えで使いたい!と思っていました。
そのため、どのようにしたらそれが実現可能のなのかを考えなければと思い準備を始めました。
資産と負債の把握をする
まず、資産と負債の把握をします。
資産というのは、
例えば・・
預金
株・投資信託
学資保険
退職金
車
自宅
などです。
負債というのは、
例えば・・
住宅ローン
リフォームローン
などです。
簡単に言うと、資産の合計から負債の合計を引いたものが共有財産と考えます。
(この時、結婚前の資産や相続で受け取ったものなどは含まれませんので、注意してください。 )
実際には別居時点の価格とする場合が多いのですが、現時点で一度計算してみてください。
金額を調べたらエクセルなどで財産分与の目録をつくり、金額を確認できるものをコピーしておくとあとで証拠として残すことができるのでいいと思います。
(1)資産を確認する
資産の確認方法は、
・預金
通帳記帳・ネットバンキングで確認する。
・株や投資信託
証券会社のマイページなどで残高を確認する。
・学資保険
解約返戻金を知りたいとコールセンターに連絡する。
本人でないと答えてくれない場合があるので、ネットから解約用紙を取り寄せると解約返戻金が載ってます。
(コールセンターのお姉さんが教えてくれました!)
・退職金(確定拠出年金)
私の場合は、iDeCo(確定拠出年金)が退職金積立になっていたので、証券会社のマイページなどで残高が確認できました。
独身の期間は外します。
20年中3年が独身なら17/20が財産分与の対象です。
夫の方は、会社に今辞めたらいくらかを計算してもらいました。
(準備中はできないので、後日になりました。)
また、弁護士さんに相談したところ、退職するまでの期間が長く金額の確約ができないので、財産分与からは除外し、別途「もしもらえたら、もらった時に○○円振り込む」という形にしました。
・車
6年経っていれば0円!!
車や建物などの資産は、耐用年数という考え方があり(どのくらいもつかを法律的に考える年数のこと)車は基本的に6年になります。
軽自動車は4年です。
まだ乗れるんだから、価値あるじゃん!と思いますが、法律的に考えるとこうなります。
お金をかけて査定書をとって妥当性を検討するという方法はありますが、今回は子供を引き取る私が使いたかったので(評価は低い方が有利)、このまま進めました!
・自宅
不動産は評価方法がいくつかあり実際にはっきりとした金額を出すのは難しいです。
自宅に、年に1回固定資産税通知書というものがお住まいの自治体から届くと思います。
そこに価格が書いてありますので、それを参考にしてください。
(自治体が決めた固定資産税を計算するもとになる不動産の価格です。)
先ほど言ったように、不動産評価は複雑なので不動産鑑定士に依頼するなど専門家に依頼する場合でなければ、裁判では固定資産税評価額を使うことが多いそうです。
固定資産税評価額は実際の取引価格より低いことが多いので(時価の70%くらい)、私はこの価格で弁護士さんに確認をとり進めました。
逆に売りたい場合は、評価の仕方を変えると価格を高く主張できることがあるので、それはまた別機会に説明します!
(2)負債を確認する
負債の確認方法は、
・住宅ローン
住宅ローンを借りたときに、返済予定表というものが銀行から発行されていると思います。
今月の残高の部分が今の住宅ローンの残高です。
もし、見当たらない場合は銀行の窓口に行けば発行してもらえます。
本人でないと答えてくれないケースがあるので、通帳と届出印を持って行ってください。
・リフォームローン
こちらも借りた銀行から返済予定表が発行されているので、今月の残高を確認してください。
資産から負債を引いて、全ての財産の合計金額を出す
資産と負債の把握ができたら、 資産から負債を引いて合計金額を出します。
(1)まず自宅のみの評価をする
まず、家の評価額から住宅ローン(リフォームローンなどの家にかかったローンもあれば引いてください)の残高を引いてみます。
こうすると、自宅のみの評価を見ることができます。
簡単に説明すると、家の評価が2,000万円で住宅ローンが1,500万円なら
2,000万円ー1,500万円=500万円
で現在の家の価値は500万円ということになります。
もう少しわかりやすく考えると、今家を売ったら2,000万円のお金が手に入るけど、住宅ローンを1,500万円返すと・・ 通帳に500万円残る、だから財産としての価値は500万円だなという考え方になります。
その逆で、住宅ローンの方が多い場合・・、例えば2,500万円の住宅ローンが残っている場合は
2,000万ー2,500万=-500万円
となり、家の価値はマイナス500万円!ということになります・・。
(一つ注意点としては、自分が住宅ローンを引き継ぐことが前提の話になります。
基本的には、住宅ローンの新規申し込みの場合、正社員でないとローンが通らないことが多いのが現状です。
専業主婦やパートの方は、この方法を検討するにあたって、収入を安定させることを一緒に検討してください。)
さて、計算してみて、プラスでしたでしょうか?
私はマイナスでした!
住宅ローンの方が多くなることをオーバーローンといいます。
基本的にオーバーローンは相手に負担してもらえないケースが多いです。
「借金のうち半分払って」と言えないということです。
しかし、マイナスの部分を他の資産で相殺するということができるのです!!
借金のみなら払ってもらえないけど、「その分その他の資産をちょうだい」と言えるということです!
(2)全体の財産の合計金額を出す
最後に、その他の資産の金額を足して自宅以外の資産の合計を出してください。
もし、自宅が500万円のオーバーローン(マイナス500万円の価値)で、自宅以外の資産が1,000万円の場合
1,000万円(自宅以外の資産)-500万円(家の資産価値)=500万円
全体の財産の合計金額は500万円
ということになります。
つまり、500万円が財産分与の金額です。
(3)現金(すぐに現金化できる)がいくら手元に残るか計算する
財産分与の金額が500万円。
それぞれの一人あたりの財産分与の金額は半分の250万円ずつということになります。
「250万円しかもらえないのかぁ・・」と思うかもしれませんが、
実際は、
1,000万円(自宅以外の資産の合計)-250万円(相手に渡す財産分与分)=750万円(手元に残る資産)
という計算になります。
住宅ローンは引き継ぐものの、現時点で750万円手元に残るという計算になります。
もう少しわかりやすく言うと、自宅(マイナス500万円)とお金(プラス750万円)をもらうということです。
不動産以外のすぐに現金化できる資産が手元に残ることは、とても重要です。
確かに住宅ローンという大きな負債を引き継ぐことは簡単ではありませんが、その代わりにその分の資産を持つということになります。
また、住宅ローンは他の借入に比べて超低金利ですので、オーバーローンにより現金を手元に残すことは、
言い方を変えると、
「超低金利で離婚後の生活の資金調達ができた」と同じことになります。
これは、とても有り難いことですね!
(4)計算方法が法律的に問題がないか弁護士さんに相談する。
最終的には、法的に問題ないかを弁護士さんにチェックしてもらうことをお勧めします。
私の場合も、弁護士さんから「問題ないです」とのお答えをもらったので、夫に「弁護士さんに相談してあるから間違いないよ」と言うことができ、細かい反論もなくすんなり了承を得られたと思います。
相談するだけなら、無料相談や30分5千円程度で受付けてくれますので、相談に行ってみてください。
同じ内容を伝えるにも、弁護士さん!という切り札をを交渉に持っていると強いです。
私も資格を持っているのでよくあるのですが・・、名刺を渡した後に態度が変わったりする方がいて、そういうもんか・・という経験があります。
「肩書きの力」侮れないですね!
まとめ
今回はオーバーローンという特性を生かして、手持ち資金を確保できるというメリットをお話ししました。
収入がすぐに上がらなくても、何年間かの生活費は確保できますし、資金があることで精神的な安心と将来の見通しがつきます。
離婚すると決めたら、まずは今ある資産の計算をしてみてください。
どんな課題があるのかはっきり見えてきます。
大変ですが、時間をかければ根拠のある数字がちゃんと出せます。
離婚を考えるときに、お金の不安を漠然と抱えている方は本当に多いなと感じます。
少しでも、理解を深め、安心してから前に進んでほしいなと思います。
一緒に頑張りましょう!